管理番号 | 新品 :99494739 | 発売日 | 2024/05/06 | 定価 | 10,000円 | 型番 | 99494739 | ||
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カテゴリ |
日本古代氏族系譜の成立・学習院学術研究叢書/溝口睦子/氏族系譜というジャンルが大化前代大和朝廷時代の日本に存在したことの論証を試みる
商品説明
日本古代氏族系譜の成立・学習院学術研究叢書/溝口睦子/氏族系譜というジャンルが大化前代大和朝廷時代の日本に存在したことの論証を試みる
昭和57年 398P 部数は少なそうです。資料用にもいかがでしょうか。
はしがき
戦後学校教育の中での古代史の扱いは大きく変って、五、六世紀以前の歴史は専ら、考古学と中国史料によっ て組み立てられるようになった。去年のことだが、学期の始め、学生に知っている天皇の名前を古い順に書いて もらったところ、神武、崇神、応神が書けたものは稀だった。仁徳は古墳と結びつけて比較的知られていたが、 一番古くて推古という人もあった。小学校の頃から敲き込まれて、神武、絞靖、安寧、懿徳と、難なく口をつい て出る戦中世代のわれわれとは大きな違いである。しかしこれは、考えてみると彼等の歴史認識の方がむしろまっとうなのであって、戦後三十年経っても、まだ記紀の歴史像の呪縛から充分に自由でないわれわれの方がおかしいというべきであろう。たしかに記紀は八世紀初頭、支配者の手で意図的に作られた書物だという正当な位置に戻るべきであり、そこに描かれた歴史は一つのお話としての比重で扱われるべきである。
しかしながら、記紀のお話の中には、古墳や土器や或いは中国史料からはけっして得られない、古代日本についての貴重な情報がつまっていることも事実である。例えば五世紀以前の人々の世界観や価値観、その変遷、またそうした面での他の世界との関連など、これらは古代の人自身の言葉を通してしかわからないものであり、そ れが記紀の中には伝承として豊富に含まれている。われわれはこういったものを、今度こそ記紀の枠組にはまり込まずに慎重にとり出して、正しい歴史を復元しなければならない。戦後の古代史学が共通して目指してきたの も、このようなものであったと思うが、しかし対象が古くなればなるだけ、その検証と確実な歴史の復元はきわめて困難で、問題はまだ大きく残されている。
以下の論稿は、そうした目的への一つの過程として、記紀やその他古文献の中の先祖伝承に焦点をあて、その史料的性格を探り、結論として氏族系譜(本系)という一つのジャンルが、大化前代大和朝廷時代の日本に存在したことを論証しようとしたものである。
書中、先学諸氏の論を、浅学菲才の身であることをかえりみず、度々批判の対象としてとり上げたが、そうし た先学諸氏の業績があればこそこの論文が成ったものであることはいうまでもない。きびしい御批判をいただければこれに過ぎる率いはない。
昭和五七年三月
著者記
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